高速道路を長く走っていると、サービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)で一晩寝てしまいたくなる。結論から言えば、眠気や疲労を感じたときにSA・PAで休憩をとることは、NEXCO東日本が呼びかけていることだ。一方で、NEXCO東日本と中日本は、休憩などの目的に反する長時間の駐車を禁止行為にしている。仮眠と車中泊の線引きは、時間の数字では示されていない。
「ご利用上の注意」に書かれていること
NEXCO東日本の「SA・PAご利用上の注意」は、SA・PAを高速道路を利用する人の休憩などを目的とした施設で、駐車できる台数に限りがある場所と位置づけている。禁止行為には、休憩などの目的に反する長時間の駐車、空ぶかしや不必要なエンジンの作動、みだりな火気の使用、キャンプやバーベキューなどが並ぶ。
NEXCO中日本の注意書きも、休憩や食事、買い物などの目的以外での長時間の駐車、不必要なエンジンの作動、バーベキューや花火などの火気の使用を禁止している。禁止行為に対しては、行為の中止や施設からの退去を求めたり、警察に通報したりする場合があるという。NEXCO西日本の駐車マナーのページも、SA・PAは休憩などを目的とした施設で台数に限りがあるとして、長時間にわたって駐車スペースを占拠する行為をやめるよう求め、アイドリングストップを呼びかけている。
ここで注目したいのは、禁止事項に「仮眠」そのものは挙がっていないことだ。NEXCO中日本の担当者は、仮眠と車中泊の違いを明確には定義していないものの、宿泊を目的とした駐車はご遠慮いただいていると説明している。
なぜ長居は控えるべきなのか
NEXCO3社は2026年5月、SA・PAはすべての利用者が平等に使う空間だとして、思いやりとゆずり合いの気持ちで適正に利用するよう改めて呼びかけた。同時に、休憩施設の整備状況も公表している。2025年度は全国21か所で大型車の駐車マスを約450台分拡充し、2026年度は23か所で約520台分の増設工事を予定している。大型車ドライバーの休憩の機会を確実にするため、大型車マスの一部を60分以内に限る「短時間限定駐車マス」も、2025年度までに44か所で整備された。
休憩する人の場所を確保するために、これだけ手が入っている。仮眠も休憩の一部だが、一晩の滞在は、休憩したい人への配慮を欠くことにつながりうる。
「仮眠」と「車中泊」の境目はどこにあるのか
何時間までなら仮眠なのか。NEXCOの注意書きにあるのは「休憩などの目的に反する長時間の駐車」という書き方で、具体的な時間は示されていない。中日本も、仮眠と車中泊の違いは定義していないと明言している。管理者が示しているのは、時間の数字ではなく、目的と周囲への影響だ。
エンジンの扱いにも注意したい。不必要なエンジンの作動やアイドリングは、東日本・中日本・西日本のいずれも控えるよう求めている。夏や冬に、冷暖房のためにエンジンをかけ続けることは、この点で問題になりうる。先日書いた、エンジンを止めたまま使えるエアコンの話は、この点ともつながっている。
日本RV協会は、公共駐車場でのマナー違反をなくすため、「公共駐車場におけるマナー10か条」を示している。
どこでも同じ、基準は「ほかの方への配慮」
仮眠か車中泊か。境目を考えるとき、結局のところ基準になるのは、時間の長さよりも、ほかの利用者や管理者への配慮ができているかどうかだと思う。これはSA・PAに限った話ではない。キャンプ場でも、RVパークでも、同じことだ。NEXCO3社も、SA・PAの利用にあたって、思いやりとゆずり合いの気持ちを求めている。
その大切さがよく分かるのが、道の駅だ。道の駅は24時間無料で使えるぶん、車中泊をめぐって、ごみの放置やトイレの不適切な利用といったトラブルが後を絶たない。車中泊を控えるよう案内する道の駅もあれば、トラブルが起きたときに備えて、ナンバーの申告を条件に車中泊を認める道の駅もある。施設側は、利用者に「休憩しているだけだ」と言われると強く注意しづらく、結局は利用者一人ひとりのモラルに委ねられているのが実情だという。
配慮を欠いた利用が重なれば、案内やルールは厳しくなり、使える場所は狭まっていく。SA・PAも、そうなる可能性がないとは言えない。場所を使い続けるための条件が「配慮」だと考えれば、仮眠と車中泊の線引きで迷ったときの答えも、おのずと見えてくる。
高速を降りずに、一晩ゆっくり休める場所
新名神の鈴鹿PA(上り)には、駐車場から直接入れる車中泊スポット「RVステーション鈴鹿PA」がある。2022年に期間限定で始まったが、利用者の根強い要望を受けて、2023年8月に営業期間を「当面の間」に延長した。NEXCO中日本の公式案内では現在も営業中で、料金は1台2,200円(税込)、5台限定、利用は12時から翌10時まで、100Vの電源が使え、火気は厳禁だ。予約はCarstayのアプリで行う。通行止めの可能性がある場合は利用できないことがあり、下り線からは一度降りて上り線に乗り直す必要がある。Carstayの2025年の予約ランキングでも、全国4位、西日本1位に入った。
SA・PA内の宿泊施設「ハイウェイホテル」もある。NEXCO中日本は、高速道路を降りずに使える宿泊施設として、EXPASA足柄(上り)の「レストイン時之栖」、EXPASA多賀(下り)の「レストイン多賀」、豊田上郷SA(下り)の「ファーストラウンジ豊田上郷」を案内している。レストイン多賀には、入浴付きで横になれるスペースがあり、公式の案内では6時間2,500円だ。他の施設の料金や空きは、各施設の公式サイトで確認したい。
高速を降りられるなら、RVパークも選べる。日本RV協会認定のRVパークは、2026年9月末に706件になった。先日取り上げたローソンのRVパークも、各地に広がっている。
よくある疑問
SA・PAでの仮眠は何時間までOK?
NEXCOは具体的な時間を示していない。NEXCO東日本は、運転は2時間に1回は休憩するよう呼びかけ、眠気や疲労を感じたらSA・PAで休むよう勧めている。
SA・PAでの車中泊は違法?
法令違反かどうかは状況によるため、一概には言えない。ただ、NEXCOの注意書きでは、休憩などの目的に反する長時間の駐車は禁止行為だ。中日本は、禁止行為に対して中止や退去を求め、場合によっては警察に通報するとしている。
寒い時期、暖房のためにエンジンをかけ続けてもいい?
不必要なエンジンの作動やアイドリングは、NEXCO各社が控えるよう求めている。冬の車中泊では排気ガスによる事故の危険もあるため、避けたい。詳しくは冬の車中泊の記事を参照してほしい。
SA・PAでも、道の駅のように車中泊を控えるよう求められるようになる?
東日本・中日本・西日本のいずれの注意書きにも「車中泊禁止」とは書かれておらず、禁止されているのは、休憩などの目的に反する長時間の駐車だ。ただ、配慮を欠く利用が目立てば、対応が変わる可能性はある。
長距離を走っていると、眠気をこらえて走り続けるより、早めに仮眠をとるほうがずっと安全だと思う。そのための場所が高速道路にあることは、ありがたい。キャンプ場でもRVパークでも、そしてSA・PAでも、結局は同じことだと思う。ほかの人への配慮があってはじめて、その場所は使い続けられる。道の駅で起きていることは、SA・PAにとっても他人事ではない。
エアコン付きキャンピングカーの、その先へ
「休憩」と「宿泊」のあいだ
コンビニ駐車場で車中泊
出典
出典:NEXCO東日本・中日本・西日本(SA・PAご利用上の注意、駐車マナー)、NEXCO3社ニュースリリース(2026年5月27日)、NEXCO中日本(RVステーション鈴鹿PA、宿泊施設)、Carstay、日本RV協会、くるまのニュース ほか